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​堤町まちかど博物館~堤焼六連の登り窯の保全と活用の取り組み~

震災からの復興

2011年3月、博物館は東日本大震災により登り窯の半分がつぶれ、貴重な堤焼のいくつかも壊れるという甚大な被害を受けました。無残な姿に解体も止むを得ないかと思われましたが、2代目館長の佐藤はつみさんの、「亡くなった主人が大事にしていたものだから、この窯を元に戻したい」というお気持ちをうかがったとき、登り窯を復興させなければと、再びみんなで立ち上がりました。

 複数の団体や個人からの資金援助をいただきました。その中には、テイラー先生や酒井敦子さんをはじめとする米国の建築と子供たち関係者の方々、広島の陶芸家の方々なども含まれています。

2011年7月から、60名の子どもたちや、堤人形作家の佐藤吉夫師匠をはじめとする地域住民、市民有志など延べ430名の方々の協力を得て、崩れた3房を再生する作業に着手しました。まずは、レンガを再利用するため、崩れ落ちたレンガに固く付着していた粘土を斫りました。台原小や吉成小の子どもたちも必死に手を動かしました。斫り終わってみると、形や大きさがばらばらな5~6種類ものレンガから成っていることがわかり、修復を重ねてきたであろう窯の歴史と窯元の苦労に想いを馳せました。不足したレンガ2000個ほどは、将来窯に火を入れることも考えて耐火レンガを購入しました。

次は、レンガから斫りとった土やレンガくずを、どんづきという昔ながらの道具を使ってつぶし、ふるいにかけて土を作る作業です。吉成小の子どもたちが土埃にまみれながら手伝ってくれました。出来上がった土は、のちに耐火モルタルを混ぜてレンガの接着に使うとともに、窯の保護土としても使いました。

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6房のうち3房が崩落

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固まった粘土を斫ってレンガと土を再利用

2011年「震災で壊れた登り窯のレンガをきれいにしよう!」

11-2-3 2012どんづきで斫りとった土をつぶす.jpg

はつみさん(右から2番目)が見守るなか、どんづきでレンガくずや斫りとった土をつぶす

2012年「堤焼登り窯再生プロジェクト~震災で壊れた登り窯のレンガをきれいにしよう!~」

準備作業を終えると、築窯師の佐藤時朗さんを浜松から迎え、焼物づくりの職人も加わり、窯積み作業が行われました。

まずは、窯の立壁にレンガを積み、アーチ部分は型枠を使い、その上にレンガを積んでいくのですが、左右両方からレンガを積み最後はキーストーンとなる台形のレンガをはめこみます。

その直後に支柱を叩いて型枠を一気に落とすとレンガがせり持ってアーチが安定しました。

約1か月間の窯積みが終わり、時朗さんは浜松に帰っていきました。その後は、窯に土を塗る仕事が待っていました。土づくりを手伝ってくれた吉成小の子どもたちが再び来てくれて、窯の壁やアーチ部分に土を塗りました。

2012年10月、窯の再生に携わった皆さんが集まり、火入れ式を行い、復興を祝いました。達夫さんも天国から見守ってくれていたことと思います。

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左 型枠の上にレンガを積んだ窯

中央 型枠をはずした窯

右 レンガ積みが終了した窯

2012年「堤焼登り窯再生プロジェクト~レンガ積み~」

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登り窯上面に土を塗る吉成小6年生

2012年「堤焼登り窯再生プロジェクト~土塗り~」

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みんなの力で復興した登り窯

2012年10月

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佐藤吉夫さん(左から4番目)が火入れ式を再現

みんなで復興を祝う

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