地域の公園をデザインしよう
市の公園課の人たちが、学校の近くにある公園をリニューアルすることになったので、「みなさんにデザインしてほしい」と子供たちにお願いにきました。バブルダイアグラム(ネズミの家を参照)を描いたり、模型を作ったりしながら、どんな公園がいいかアイデアを出し合って考えましょう。自分たちが考えた公園ができあがったら、地域の人たちや市役所の人たちに発表します。
●ステップ1 地形模型をつくる(スタッフによる準備作業)
デザイン活動に入る前に、公園の模型をつくる土台となる地形模型をつくります。地形模型は、都市計画図をもとに、実際の地形を拡大してつくります。地形模型の数は、子供たちの人数によって決まりますが、5~6人/1グループとして必要な数を準備します。
樹木も用意しますが、何度でも植えかえができるように、針金と花紙で作ります。また、池などを掘ったりする場合もあるため、地形模型の材料は、押し出し発泡スチレン板40㎜とします。地形模型には木工ボンドを塗り、その上にシーナリーパウダーを振ります。
縮尺に合わせた紙で作った人型をグループの数だけ準備します。
●ステップ2 公園をたんけんする
公園課の人から、どのような公園にしたいかや、公園の歴史などについてお話をうかがいます。その後、公園に出かけ、五感を使ってたんけんし、気に入ったものや、気になるものをさがします。見つけたら、写真やメモに記録します。
●ステップ3 専門家の話を聞く
ランドスケープデザインなどの専門家をお招きして、日本や世界の公園には、どのようなものがあるかお話を聞きます。
●ステップ4 視覚言語などデザインの基礎を学ぶ
シャボン玉や風船の動きを描いて視覚言語の練習をします。余裕があれば、空間がポジティブネガティブできていることを学び、紙で遊具や休憩所など公園の一部をスタディ模型に作って、ポジティブネガティブのコンセプトを体験します。
●ステップ5 バブルダイアグラムを描く(個人活動)
活動を始める前に、公園は小さい子からお年寄りまでのいろいろな年齢の人や、外国人、障害を持っている人、鳥や虫などの生き物など、様々な人や動物が利用するということを踏まえて、それぞれの立場に立って考えること、そして安全性や耐久性も考えることをファシリテーターと子供たちが確認し合います。こうして子供たち一人ひとりがバブルダイアグラムで自分のアイデアを練ります。
●ステップ6 グループでバブルダイアグラムを描く
一人ひとりが描いたバブルダイアグラムを持ち寄って、グループでバブルダイアグラムを描きます。
全員、個人バブルダイアグラム活動を通して、自分の考えを持っています。そのため意見がぶつかり合うことがあります。それらの意見をひとつの構想にまとめるために話し合いをします。
引き出し線でバブルを説明し、大きい空間は大きいバブルで、小さい空間は小さいバブルであらわし、空間と空間を行き来する線や矢印は、何度も行き来するときは、太くしました
2018年立町小学校5年「西公園遊びひろばをデザインしよう」
一人ひとりのバブルダイアグラムを持ち寄って話し合いでひとつのバブルダイアグラムを描いていきます
2001年東長町小学校6年「わたしたちの長町中央公園-続・長町副都心計画プロジェクト」
●ステップ7 模型をつくる
教室の一角にデザインセンターをつくり、そこに樹木模型、針金、バルサ、紙粘土、ランドスポンジ、モール、色紙など様々な材料を置いて子供たちが自由に材料を選べるようにしておきます。子供たちは、前回の話し合いで考えた公園を、これらの材料を使って地形模型の上に表していきます。直したいときは何度でも話し合って修正していきます。
鳥の目で見ると本物の公園のようです
2016年上杉山通小学校6年「上杉公園デザインプロジェクト」
迷路、ドッグラン、広瀬川上の休憩所などを製作中
2018年立町小学校5年「西公園遊びひろばをデザインしよう」
薬師堂を含む史跡陸奥国分寺跡地を歴史公園としてデザインすることになった6年生、出来上がった模型には、薬師堂(中央)を囲むように七重塔や僧房や築地塀が復元されていました
2014年南小泉小学校6年「考えよう!歴史や伝統のよさを生かしたまちづくり~未来の歴史公園をデザインしよう~」
●模型完成発表会
模型が完成したら、どんな特徴があるのか、どんな工夫をしたのか、うれしかったことは何か、難しかったことは何かなど、公園課の人や地域の人などをお招きして発表しましょう
子供たちの感想(抜粋)
2001年東長町小学校6年「わたしたちの長町中央公園-続・長町副都心計画プロジェクト」から
・(たいへんだったことは)バブルダイアグラムとスタディ模型です
かいたり作ったりしていると、だんだんわけがわからなくなっていって、自分のアイデアが具体的ではないことがわかりました
・(勉強になったことは)みんなの意見の大切さや人の数だけ答えがあるということです
一人ひとりの言葉を大事にしながら行動しなければならないと思いました
・(勉強になったことは)遊具は、障害者の人にとって、遊べないと考えるのではなく、どうしたら遊べるようになるかを自分たちで調べ、考えたことです
・皆でまとまって何かをすると、たくさんのイメージが1つになって、また新しいものが生まれるんだと思った
2014年南小泉小学校6年「考えよう!歴史や伝統のよさを生かしたまちづくり~未来の歴史公園をデザインしよう~」から
・いろいろな人がどんな期待をもってくるか考えなければならないことがわかった
障害者やお年寄りの立場に立って考えるのはとても大事 みんなで協力することによっていいものができるのであって、一人で自分勝手にやるとできないんだなあと思いました
・模型づくりはおもしろかったけど、すべてちゃんと説明しなければならないということが改めてわかった
意見を一つにするのも難しいと思った
・模型をつくったり、討論して一つにまとめたりするのは難しかったけど、終わったあとは達成感があり、とても気持ちがよかった